日銀は地方経済を理解してるのか?

東京 18日 ロイター] 白川方明日銀総裁は18日、金融政策決定会合後の記者会見で、インフレターゲットを採用しているかどうかは、金融政策の枠組みを議論するうえで、意味のある論点ではなくなっていると指摘した。
 総裁は現在の日本の金融政策について、インフレターゲットの採用国と非採用国のよいところを採っており、現状の枠組みは最適との考えを示した。 

 <金融危機通じて、インフレターゲットに反省気運も>  

 インフレターゲットについて白川総裁は「採用しているかどうかは、金融政策の枠組みを議論するうえで意味のある論点あるいは切り口ではなくなっているという印象がある」と述べ、物価ターゲットや目標の設定に否定的な見方を示した。

 現在の日銀の枠組みについては、インフレターゲットを採用している中央銀行の良い部分、採用していない中銀の良い部分を組み込んでいるとしたうえで「現状では、この日銀の枠組みが最適」との考えを示した。 

 菅直人財務相は16日の国会答弁で、日銀が「中長期的な物価安定の理解」で前年比1%程度の上昇を中長期的な安定としていることについて「(政府も)その程度を政策的な目標にすべきと考えている」としたうえで、1%程度の上昇が「ほぼ(政府と日銀の)目標として認識が一致していると思う」と指摘していた。

 白川総裁は「中長期的な物価安定の理解」について「物価安定とはどういうものを示したもの」と説明した。

 白川総裁は「今回の金融危機を通じて、インフレターゲットについても反省気運が生まれてきている。物価の動向だけに過度の関心が集まり、蓄積しつつあった金融経済の不均衡を見逃し、金融危機発生の一因になったのではないかという問題意識が以前より高まっている」「(ターゲットとか目標とかで)短期的に足元の物価上昇率と目標を埋めていくように政策運営をしているというような見方が生まれてくると、金融政策が最終的に目標とする持続的な成長にむしろマイナスとなる局面もある」などと指摘した。

 さらにインフレターゲットが成功するための条件として「(インフレターゲットは)中長期的な経済金融の安定を実現していくものであるとの十分な理解があること」を挙げた。