日本経済の二番底

 前回に引き続き、リーマンショック後の経済を振り返りながら、これからの経済の動きを考えていきます。ようやく日本経済も回復の兆しが見えてきたところですが、ここで気になるのが“二番底”はやってくるのか? という点です。どのような問題点があるのか、数字を追いながら見ていきましょう。

“二番底”はやってくるのか
 まだ今年が終わった時点での統計を見ないと正確なことは言えないのですが、日本は今年、GDPベースで先進国中最大の落ち込みをしていると私は見ています。

 前回もお話ししましたが、鉱工業生産指数で見ると日本の景気は米国や欧州と比べものにならないほど落ち込みました。

 にも関わらず、経済規模から見て日本は景気対策を十分に行っていないのです。GDP14兆ドルの米国は約78兆円、GDPが日本とほぼ同じ5兆ドルの中国は約56兆円の景気刺激策を実行していますが、日本は第二次補正予算が14.5兆円です。

 なおかつ、民主党は公共事業や補正予算の執行の見直しをしようとしています。これは、景気指標などの数字の実態を知った上でやろうとしているのでしょうか? 私は疑問に思っています。

 数字を見ている限りでは、景気対策の規模を今の倍くらいにするというのならまだしも、わずか14.5兆円しか使っていない補正予算の執行すら止めるという感覚が、私には全く理解できないのです。

 そこで、また“二番底”を経験する可能性が出てきます。このまま行くと世界の中でその確率が一番高いのが残念ながら日本です。

 なぜならば、日本の景気回復は米国や中国に依存している部分が大きく、また、ここで説明しているように景気刺激策も小さいことから自律反転の可能性が小さいこと、さらにデフレ懸念があるからです。

 ここで、中国経済の状況をもう一度確認しておきたいと思います。世間で言われているほど強くはなく、脆弱な部分がかなりあるように私には思えます。