世界経済見通し

ワシントン平地修】世界銀行は17日発表した最新の世界経済見通しで、12年の世界全体の実質経済成長率を2.5%と予測し、昨年6月時点の前回見通し(3.6%)から大幅に下方修正した。欧州債務危機の影響が先進国だけでなく新興国にも及んでいるとし、「世界経済は重大な下ぶれリスクと脆弱(ぜいじゃく)性によって非常に困難な局面に突入した」と分析した。

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 ユーロ圏の12年の成長率予測をマイナス0.3%と、昨年6月の予測(1.8%)から大幅に下方修正し、「欧州は景気後退期に入ったようだ」との見解を示した。日本については、12年の成長率を1.9%と見込んだが、昨年6月の予測(2.6%)からは下方修正。東日本大震災の復興需要で11年のマイナス0.9%からは回復するものの、欧州危機が影響を及ぼし始めているとしている。

 世界経済のけん引役になってきた新興国については、欧州危機の影響で投資や貿易量が減少しており、12年は中国の成長率が8.4%に減速するとの予測を示し、ブラジルやインドなどでも成長の減速がみられると指摘。欧州の景気停滞と新興国の成長鈍化が世界経済のリスクを高めており、欧州危機が想定以上に深刻化すれば、「(世界経済は)08年から09年の金融危機と同等か、より深刻な景気後退に陥る恐れがある」と警告した