2012年景気見通し予測

<概 要>
ギリシャを発端とした欧州の債務問題はEFSFの拡充などから、リーマンショックのような世界的金融危機に発展するリスクは低下している。しかし、ユーロ圏における金融環境の改善は見込み難いうえに、歳出削減の動きなどから周辺国を中心として欧州景気は停滞が続く。米国経済も雇用回復の遅れ、家計のバランスシート調整の長期化などから、成長ペースは緩慢なものにとどまる。これまで世界経済を牽引してきた新興国経済も、中国の成長ペースが鈍化するなど、景気の牽引力の低下が見込まれる。
海外景気に明るい材料が見えない中で、国内経済は年末にかけては、サプライチェーン正常化の一巡、地デジ化対応・住宅エコポイントなどへの駆け込み需要の剥落、海外景気減速の影響などから回復ペースが一旦鈍化する。
ただし、総額12兆円の第3次補正予算による景気押し上げ効果が顕在化すると予測される2012年央以降は、成長ペースが再び加速する事を見込む。第3次補正予算は総額でGDPを1.0〜2.0%程度押し上げる効果があると推計されることから、国内経済の下振れリスクは小さく、日本は2012年度に関しては先進国の中で有数の高成長国となる蓋然性が高い。
実質経済成長率は、2011年度0.3%増、2012年度1.9%増を見込む。
一方、2013年以降は国内では景気押し上げ効果の剥落、所得税率や消費税引き上げなど国民負担増加の動き、海外においては欧州では債務危機の影響による景気停滞の長期化、米国での財政再建の動き、中国での不良債権問題などの不透明要因が多く、中長期的な観点からは国内景気を楽観視することは難しい。