国の借金は864兆円
後数年で国債の引き受け先がなくなるだろう
デフォルトか?
■国家債務不履行(デフォルト)とは
デフォルトしても、国そのものがなくなるわけではありません。
過去の歴史を見れば、ロシア、アルゼンチン、戦後の日本など、
それぞれ一時大変な時期を経験しますが、早ければ数年で回復します。
1.ロシア
ロシアでは1997年のアジア金融危機の余波を受けて財政が悪化、
1998年に対外債務の支払い停止(モラトリアム)を行い、
ロシア国債はデフォルトしました。
その後、年率7,000%ものハイパーインフレを経験し、
新1ルーブル=旧1000ルーブルとするデノミ(通貨の呼称単位切り下げ)を行っています。
しかし、10年も経たない2007年〜2008年現在、原油高も手伝って、産油国である
ロシアの経済は順調に回復しています。
2.アルゼンチン
アルゼンチンの場合、輸出不振から極度の経済不振に陥り、
2001年にアルゼンチン政府はデフォルト宣言を行いました。
その後、年率40%のインフレが進行する中、預金封鎖を行い、
小額の生活資金を除き銀行から引き出せない措置を取りました。
3.日本(太平洋戦争直後)
太平洋戦争時には、戦費調達に困った日本政府が、国債の日銀引受けを大量に行った結果、
1945年に戦争が終わった直後から、日本経済は猛烈なインフレになりました。
日本の場合はデフォルト宣言はしていませんが、インフレ沈静化の目的で預金封鎖
(金融緊急措置令と日本銀行券預入令)を行っています。
デフォルト宣言をする・しないの違いはありますが、
いずれの国にも共通で起こっていることは、インフレーションです。
実際、デフォルト宣言を行わなくても、大きなインフレになれば、
借金の踏み倒しと同じことになります。
たとえば、100万円の借金があっても、タクシーの初乗りが100万
円になるようなものすごいインフレになれば、
100万円の借金はすぐに返せます。
政府は、債務を支払うために中央銀行に無理矢理に
新規発行した国債を引き取らせるなどして、紙幣を増刷します。
これにより、インフレになり、インフレが進むと、自国通貨が急激に安くなります。
自国通貨が安くなると、輸入物価が上昇し、さらに国内のインフレが進みます。
※現在の日本銀行は、国債の引き受けができないことになっています。
ただし、「国会の議決を経れば」日銀の国債引き受けは現行法のもとでも可能です。
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A:日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条(注)によって原則として禁止されています
(これを「国債の市中消化の原則」と言います)。
これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、
その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛らなくなり、
悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。
そうなると、その国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も失われてしまいます。
これは長い歴史から得られた貴重な経験であり、わが国だけでなく先進各国で中央銀行による国債引受けが制度的に禁止されているのもこのためです。
ただし、金融調節の結果として保有している国債のうち、償還期限が到来したものについては、
「財政法」(第5条ただし書き)の規定に基づいて、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国による借換えに応じています。
(注)財政法第5条:
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。
但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。