日本の国は破綻している年金も

私はテレビをあまりみないが、ワールドカップをみようとしていたら、菅直人首相の街頭演説を聞いてしまった。

 曰く、消費税は上げたくないが、上げざるを得ないという。財政破綻危機のあるギリシャの例を持ち出し、「誰が一番被害を受けるか。ギリシャで最初にやられたのは、年金と給料のカットなんです」と言っていた。

 あたかも、国民の年金と給料を守るためには、消費税を増税しなければいけないといっているようだ。

 事実はどうか。

 まず、ギリシャの消費税率は、今年3月に19%から21%、5月に23%へと引き上げられた。それとともに、年金の給付はカットされ、「公務員」の給与もカットされる。ギリシャでは、消費税も増税されたが、年金と公務員給与がカットされたのである。

 年金と公務員給与がカットされたのは、あまりに酷いからだ。まず、ギリシャの年金は給付水準が高すぎる。

 現役の時の所得の何割をもらうかを所得代替率というが、OECDの調査では、ギリシャは96%、日本は36%、G7(除く日本)は48%だ。年金財政は出生率にも左右されるが、ギリシャ出生率は1.4程度で日本と同じ程度である。

 それでいて給付水準は日本の2倍以上もあるので、年金財政は破綻状態だ。

 またギリシャは公務員天国だ。OECDの調査では、4人に1人が公務員でその給与は民間の1.5倍であるという。これでは国家財政が持たない。