日本の破たん

 わが国の財政悪はかなり前からいわれていますが、今年になって「日本破綻」なる本が売れていることから、筆者の元にも日本は大丈夫なのかという取材等がポツポツ来ています。結論から言えば、楽観はできないものの1〜3年などという近い将来の間に日本経済が破綻することはないと思われます。
さまざまな理由がありますが、1番大きな要素として債券や為替などのマーケットが動揺していないことです。動揺というより嵐の前の静けさなのかも知れませんが。マーケットは市場参加者の合意形成の場、あるいは先見性を持って動く場と捕らえることもできるのですが、わが国の財政不安の問題は、ギリシャの財政不安のように突如浮上してきた問題ではありません。揶揄すれば、数年、十数年前から言われている筋金入りの財政不安歴なのです。

 しかしながら、ギリシャ国債のように急激に売り込まれた(=利回り急騰)わけでもなく、通貨ユーロの信任低下のようなことが円に対して起こったわけでもありません。過去、数十年という日本国債の価格(=利回り)、および為替の水準を見れば一目瞭然のはずです。本当に日本経済の破綻を予見しているならば、10年以上も長期金利が2.0%を下回っている(=国債が買われる)わけがないし、為替レートだって円高水準にあるはずがないのです。先進国の中では、突出した財政不安を本当に憂慮するならば、国債金利は1%台に落ち着いていることもなく、為替レートも米ドル/円が90円台に落ち着いていることもないのです。
 マーケットは時に狂暴になるので、日本経済の破綻が近いのであれば、国債の価格は暴落、為替だって大幅に円安になっているはずなのです。楽観はしていないもののマーケット参加者の多数は、日本の信用がギリシャのように直ぐには崩壊しないと考えているのです。ただし、このまま何もしないで良いとはだれも思っていないのは事実ですが。
以上 礼!